2010/02

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黄龍_1
黄龍_2
エメラルドグリーン
中国の黄龍に行ってみたいなぁ〜_natmeg


水脈(ミオ)_主人公_どこかの星のアジアのような地域の小さな国の住人。天体観測者。60歳。水瓶座

水脈の妻_美人。長身。主婦。家庭菜園が趣味。そのため日焼けをしている。細かいことを気にしない力強い性格。目が釣り目。52歳。牡牛座

リンッ_美人。実は活発な正確だが内に秘めていて無口。倉木麻衣似。目がクリっとしている。13歳(中1に成りたて)。魚座。


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aside_north_pt1_『北の国の政治家の息子ウラジミール_"オーロラ大帝"』

彼の家には今日も政治的癒着を切望する大人が訪れていた。
彼の父親は今日も彼の街の名前の由来となった大帝気取りでパイプをくゆらしながら応接室にて彼らの話を偉そうに聞いていた。
ウラジミールはそんな父親の姿を見飽きていた。
そして憎んでいた。
ウラジミールは頭が良かったけれど、ほとんど小学校に行くことはなかった。
彼の家系は代々政治家で、彼もそうなることを半ば約束されていた。
しかし、彼はそれを希望してはいなかった。
それどころか全く反対のモノになろうとしていた。
彼はその全く反対のモノになるための行動を既にとっていた。

彼は今日も学校に行くふりをして、家の裏にあるマンホールへと入っていった。
しばらく下水道の暗がりを歩くと、徐々に虹色に光る一角が出現した。
彼はそこに吸い込まれるように入っていく。
ウラジミール「今日はこれだけか?」
70名程いる倉庫を改造して造った部屋。
部下1「はいオーロラ大帝、今日はこの地区の中学生たちは期末試験なので、今いるのは小学生と、マンホールチルドレンだけです。」
ウラジミール「そうか・・・戦時中だというのにこの国は・・ん?何で女がいるんだ!」
部下2「はい!オーロラ大帝、この女はどうしても大帝に会いたいと言って聴かんのです。何度追い返してもしゃにむにくらいついてきてしまって・・」
ウラジミール「女は駄目だ!すべては女で駄目になる!この国を壊したのは女そのものなのに何故それが解らない?もっと歴史を勉強しろ!」
女「私、女じゃないもん!」
ウラジミール「だまれ!音間(おんかん)が歪む!早くその女をつまみ出せ!!」
数人の男子によって両腕を抱えられる10歳にも満たないような女の子、体すべてを使って必死に抵抗する。
女の子「私、女じゃないもん!男の子より強いし、私のお父さんは本当のテロリストで、合衆国で本当にテロルを起こして死刑になってるんだもん!」
ウラジミール「いくら本物でも駄目だ!女の声は高過ぎて、空間を歪ませる!本当に入りたかったら、チンポを付けて、その声を低くしてからくるんだな!!とにかくつまみ出せ!!」
女の子「私、お父さんもお母さんももう居ないの、だから仲間に入れて〜!!」
つまみ出される女の子。
ウラジミール「ここにいるやつの大半はそんなやつばかりだ。珍しくも何ともない・・」呟く。

気を取り直して皆へ向き直すウラジミール。
ウラジミール「この国の大人は腐り果てている、何一つ成功できなかった負け犬どもだ。すべては欲望の果てに素晴らしい思想も文化もすべて壊してしまった。だけど、僕らは違う。すべてが手に入り、すべてが無い時代に生まれた子供たちだ。だから、今までにどこにも無かった新しい国が出来る筈だ。それは何も無い国・・・ただあるのは心の美しさときれいな空気。まずは汚れた世界を一掃して更地にする。そして僕らはその時に死ぬ。しかし、次の子供が新しい世界を作る。だから僕たちは核爆弾を世界中に落とさなければならないんだ・・そして、これだけはみんな忘れないでくれ、大人になったらみんな死ななければならない、それは革命の途中でもだ、すべては子供だけでやらなければいけない、これから作る新しい世界には大人はいない、16歳までの世界なんだ。」
部下3「昨日ピスチェフが自殺しました。」
ウラジミール「それで良いんだ。下手にいつまで生きるか解らず生きるよりも、しっかりと16年間生きる。そして自分で死ぬ。僕もあと5年で死ぬ。たっぷり時間はある。しかし今はチャンスだ、時間を無駄に使わずに生きる。それが僕たちの信念だ。いつからか、僕たち人間は時間を無駄使いしたあげく、ねじ曲げて壊してしまった。すべてを空白に戻そう。そして、正しい時間を作ろう。ピスチェフに心を・・」
右手を右耳にあてるウラジミール。
深々と東洋式のお辞儀をする部下たち。
ウラジミールもお辞儀をする。
ウラジミール「さぁ、取りかかろう。」
持ち場に付く部下たち。
虹色に光っていたコンピューターの待ち受け画面が一斉に白く変わる。


他の子供に脇腹を蹴られて決定的に敗北するホッチキス。
涙を拭いながらショウウィンドウのガラスで自分を観るホッチキス。
緑青の波形のホッチキス。
すっくと立ち上がるホッチキス。
ショウウィンドウの中のテレビを見ながら思考する。
『僕の名前はホッチキスではない。MUDだ。僕の存在なんて所詮MUD(泥)なんだ。僕は予見できる。僕の周りのほとんどのの人たちがこれから僕を騙したり、からかったりしてゆくだろう。しかしみんな僕の本当の名前を忘れているようだけど僕はMUDだ。所詮僕の行く道はすべて泥に満たされており、泥から右足を引き抜いたとしても左足が泥に残り、左を引き抜いても右が泥に残る。着地する足はすべて泥へと向かう。でも僕は素早く立ち上がり、次の泥へと向かうことを躊躇なんかしない。だって僕は知っているんだぞ!僕だけが真実を知っているんだぞ!この世の中にあるすべてのものはあべこべで逆さまだということを!好きが嫌いで、YesがNoで、黒が白だということを!だから僕はみんなを好きになる代わりにみんなを殺す!』
ショウウィンドウに石を投げるホッチキス。
その結果を見ないうちに走り出す。
ホッチキスが投げた石はガラスを割り、大きな茶色い滝を映し出していたテレビをも破壊した。

_aside_south_pt1『南の国のシンクロ高飛び込みの双子の姉妹』
大国に連なるその貧乏で混血化が進んだその国で、彼女らは国民の期待を一身に背負いその日の午後に行われるシンクロナイズド高飛び込みの世界大会の決勝の朝をスラム街からギリギリ抜け出た地域にある小さな自宅で迎えていた。
彼女らは分かっていた。
今日という日がどれだけ大切かということを、国民の期待というよりも戦争が始まっているこの世界で、今後しばらくスポーツが無視されるという事実もそうだし、その戦時下に於いて明らかに隣の大陸の奴隷とさせられるこの国の愛国心を背負うだけ背負って勝利を収めないと、自身の身も危ないし、この暮らしから抜け出る機会も失われることを。
しかし、姉であるQが起きた時にすべてのバランスが狂う。
彼女が大切にしていた窓ガラスが、彼女が起きた瞬間に自然と割れてしまったからである。
何故彼女は窓ガラスなんかを大事にしていたかと言うと、それは亡き父の最後の形見だったからである。
ガラス職人だった父は仕事の合間などのわずかな時間を利用して、大量生産で一般的ではない窓ガラスを時折作っていた。彼のイタズラ心で作っていたのかもしれないが、彼は窓ガラスに色をつけることにより、家の中をまるで南の島の海の中に居るような空間に替えてみようとして数枚の青緑のガラスを作り、自分の家へと持ち帰っていたのだ。
気性の荒い妻との夫婦喧嘩によりほとんどの青緑のガラスは割られたり、捨てられたりしていたのだが、Qのベットのちょうど枕の位置にあるそのガラスだけはなんとか残っていたのだ。

Qの妹であるJ・Oはそんな姉を見て慰めるためにこんな台詞を彼女に言った。
「Q、そんなに落ち込まないで、南の島のガラスが割れてしまったのはとても悲しいことだけど、これでもうこの家にこだわる必要もなくなったということかもしれないじゃない?私たちがきっと今日成功して新しい未来が開けるためにこのガラスが割れてくれたのよ。ねぇ?そう考えると悪いことも良いことに繋がる兆しのように思えない?」
この国に期待を一身に背負い、完璧なコンビネーションと完璧な美貌を誇ったその14歳の双子の姉妹にも唯一つ食い違う点があった。
それは、目の色の違いであった。
姉であるQだけが、片目だけ父親の目の色を受け継いでいた。妹のJ・Oは両目とも母親のそれと同じだった。
Qのその目の色は黒だった。正確に言うと目の真ん中と周りと、またその周りの輪郭の色がすべて曖昧な色だったため黒とするしか他に説明しずらい色だった。
もう片方の色は茶と緑の混ざった色だった。
しかし、Qはその目の色を黒とは言わなかった。彼女はそれを色のない色と呼んでいた。
J・Oは色のない色とは白のことだから黒は色があるといつも優しく彼女のその台詞を笑って、その台詞と姉自身を愛するが故にからかっていた。
そして今朝も姉を愛するが故に少々逆説的に彼女を勇気づけたのだが、そして姉であるQ自身もいつもなら妹であるJ・Oのそんな台詞に甘えるようにその台詞自体に抱き込まれるようにすねてみせるのだが・・
今朝のその事件に対し、Qは何か世界が覆ってしまったかのように落ち込み続けたまま朝食をとり、そして会場へと向かわなければならなかった。


_水脈の肉体の最後の一片がバクテリアどもに食され、この星から水脈の残像がすべて失われた瞬間、水脈の娘であるリンッに不思議な力が受け継がれた。
_その瞬間をリンッは朝起きてすぐに入ったトイレで迎えた。
_排泄した瞬間に父親の緩やかだが大きく波打つ波形が消えることを確認した。
_それは青と緑の混ざった穏やかな色に感じた。
_それを食らったバクテリアの波形も感じた。それは赤かった。
_バクテリアどもが水脈の波形を食らった瞬間に真っ赤に輝いたことをリンッは確実な想像力で分析した。
_そしてリンッは大笑いした。
_自分の体は父である水脈と似た、まるで川の上流に流れる水のようなエメラルドグリーンなのに、自分から出たおしっこが燃えるような赤だったからだ。体内にいるバクテリアどもが自分の細胞を食らった時にでる色は赤い、つまりは父親である水脈に起きた現象と全く同じだったからだ。

_トイレから出てリンッはすぐに母親を観た。
母親の波形は緑と茶色のような色の二色で構成されていた。

_リンッはその時にすべてを理解した。
_エメラルドグリーン一色で構成された人間はそうはいないだろうと。
_そして自分はその稀な人間である水脈の波形を確実に受け継いでしまったということを。
_この色は地球の色だ_父はこの波形を感じる力で、惑星と恒星を見分けていたのではないか_と父親に劣らぬ推測力で仮説を立てた。

_乾燥したチーズをコーンスープに混ぜただけの質素な朝食をとりながらリンッは尚も推測を続けた。

_これからしばらく戦争が続くであろう時にまだ子供である自分_そして女性である自分がこの先どうこの力を生かしてゆけば良いのだろうかと。

_その時リンッは激しく波形を感じた_近くで人が死んだのだ_しかもまだ子供だ_戦争中はやはり子供は容易く死んでゆく_しかし、同時に死んだであろう老人の波形はごく微弱だった_それに比べて子供の波形は凄まじくリンッの腕の関節を赤く変える程痛烈に振動した。
_リンッは涙を流しながらも賢く推測した_子供の波形は大人に比べて大きい_しかも父親の臨終の際に感じたあの波形は、実は微弱な波形だったのだと_なぜなら魂が無くなる瞬間ではなく残像が消えただけでアレだけの波形を感じたのだから。
_リンッは引き続き食事を中断しながら自分に籠るように推測した_自分と同じ色の波形を持つ子供なら何処にいたとしても見つけることが出来るかもしれないと。
_そしてリンッは自分自身に確認した_その子供たちを今のうちから捜しておこうと、将来自分に起る困難を乗り越えるためにきっと役立つだろうからと。

_リンッの母親は娘のそのような光景を見ても何も言わなかった_なぜならば以前にもたびたび夫がこのような表情を浮かべていたからである。_彼女は嬉しくも感じたが、悲しくも感じた。



_『西の国の緑青の波形を持つ少年_ホッチキス』

_ホッチキスはその日も学校でからかわれて祖母の家へと帰ってきた。
_ロッキングチェアーに座る祖母の膝の下に屈み込むホッチキス。
_「おばあちゃん、僕のへそは本当に曲がっているの?」
_「あんたのおへそは曲がってるね〜、でもいいじゃない、私のおへそも曲がってるのよ」
_「でも、僕のおへそは本当は曲がってないよ。」
_「本当に曲がってなくても曲がっているものは曲がっているんだよ」
_「それは僕が白人なのに肌が黒いから?本当に僕は白人なの?」
_「お前は白人だよ、だってお前のお父さんもお祖父ちゃんも妹だって白い肌をしてるじゃないか。それにみんなお前と顔がそっくりだろ。」
_「おばあちゃんが黒い肌だから僕も黒くなったんだよ、きっとおばあちゃんのせいだよ、おばあちゃんが黒人だからだよ〜!だから僕がいじめられるんだ!」
_「ふふんっ、おばあちゃんが黒人だって?この子は何を言ってるのかね、おばあちゃんの若い頃の写真を見ただろ、雲のように真っ白だったじゃないか〜!」
_「おばあちゃんの馬鹿!おばあちゃんがへそ曲がりだったから黒くなって、僕も黒く生まれちゃったんじゃないか!」
_「その通りだよ、わたしゃ〜この国一番のへそ曲がりさ、だから自分から真っ黒になってやったのさ〜」
_「そんなの勝手だよ!僕まで真っ黒にすること無かったじゃないか!」
毛糸で編まれた祖母の靴下を引っ掻き破り家を走り出るホッチキス。

二階建ての赤いバスが走る舗道をトボトボと歩くホッチキス。
向うからやってくる黒人の学友たち。
_「あ、ホッチキスだ」
_「お前白人のくせに黒人のふりしやがって。」
_「逆の逆差別してやるよ、バ〜カバ〜カ黒い白人!お前なんか黒人以下の白人未満だ!」
_「うるさい!僕は黒でも白でもなく青いんだぞ!」
_「ぎゃははは〜!(一同爆笑)」
_膝をカクンとやられて、ひるんだ背中に肘を落とされるホッチキス。
_「だからお前はホッチキスって言われるんだよ、ホッチキスでそのバカな口を閉じてろよ!」
_「こいつ、白人に実際にホッチキスされたらしいぜ、アイツらひで〜からな」
_「オレたち黒人はそこまではしないよ、野蛮人になりたくないからな!」
黒人の子の足を噛むホッチキス。
他の子供に脇腹を蹴られて決定的に敗北するホッチキス。
涙を拭いながらショウウィンドウのガラスで自分を観るホッチキス。
緑青の波形のホッチキス。


タイトル候補
『Mole-man』
『惑星とモグラ男〜Planet and a mole man(仮)』
『空間の創造者〜Creator of space(仮)』
『大陸大移動〜Large movement of continent(仮)』
『居住空間の大移動〜Large movement of residence space(仮)』
『モグラ男の野望〜Mole man's ambition(仮)』


形態_中編アニメのシノプシス(概略)。

主人公_水脈(ミオ)
    どこかの星のアジアのような地域の小さな国の住人。天体観測者。60歳。


<シノプシス>
その時代の殆どの国は宇宙への希望を抱き、天文学や宇宙船の開発に競い合うように労力と国家予算を割いていた。
彼の国が所属する東の大陸、諸島における人種は、西の先進国郡に比べ文明や政治や貿易が遅れていたが、彼の住むその小さな国だけはなんとか西の国々に近づいていた。

彼の仕事は果てしなく遠くにある新しい恒星を発見するというものだった。
その時代、恒星を発見した場合はそれを発見した国が将来訪れるだろうと考えられていた宇宙帝国開発において探査の優先権及び、それに準じて帝国統治権が与えられる事になっていた。

しかし彼は同じ国の同じ職業の人間よりも結果を残せずにいた。
なぜなら彼は恒星を発見する事に何の意義も感じていなかったから。
恒星ならばもう腐るほど世界中の観測者が発見していたし、彼の考えでは今皆が発見しようと睨んでいる恒星は、おそらくあと何万年は未踏のままに終わるものだと言う事なのだ。
こうして彼は、彼の周りの同世代の人たちに比べ出世を遅らせていた。

だが彼は恒星を発見する事をただ闇雲に拒否していたのではない。
彼はこの百年の間にも人類が到達しうる可能性がある惑星を探していたし、
もしくはその百年以降に到達の可能性のある惑星をも探しもしていた。
そして何よりも彼が優れていたのは確実に惑星を発見する方法を編みだしていた事だろう。
惑星は恒星よりも遥かに暗く、遥かに小さい。
もしも世界中の望遠鏡を付け足す事ができたとしても、惑星の発見率は恒星の発見率に遠く及ばない。
しかし、世界は宇宙帝国を夢見て事実を知りながらも恒星集めに必死になっている。
そこに居住できる可能性のある惑星がなければ何の価値もないという事を知りながらもだ。
彼らは架空の帝国地図の勢力争いに必死になっている。
則ちそれが現代の新しい勢力地図にもなり得始めていたのだから。

だが彼はそれを深く納得していた。
他人の国の恒星の惑星を発見したとしてもそれをただ黙って引き渡す気持ちでいた。
すべての国が所有する恒星の惑星を順番に均等に発見しようとも思っていた。
そしてすべての国に新しい惑星を割り当ててそこへ移住すればよいと考えていた。
そのためにはすべての国にできるだけ資源の豊かな星を見つけなければいけない。
そうしなければ今後彼が生きているうちに幾度か起こる戦争を宇宙にまで持ち越す事になるだろうから。

だが彼はその戦争にも深く納得をしていた。
やはり自分の仕事は急がねばならない、自分に残されている時は少ない。と彼は考えていた。しかし、万が一の為に自分の15歳になる娘にだけは自分の研究の真偽を明かし、手ほどきを始めていた。
彼は何らかの戦争が起こってしまったら自分の研究は真っ先に閉ざされる事をも深く理解していた。
それは今現在のこの国の王は星を愛しているが、彼の息子は芸術を愛していて、星などという現実的なものを推奨していく意志はないと話していた、とある役人が言っていたからだ。もしそれが嘘だとしてもこの国は闇雲に文明を発展してきたので他の同人種地区の国々からは憎まれているだろうし、事実最近力をつけてきたある国とは小さな紛争のようなものも起こり始めている。
どうしても急がねばならない、今という空間は人が多すぎて、人と人との距離が近すぎる。
人類は恒久的は平穏を得る方法を持たないまま生存してゆくのだから、ストレスを発散するという事を繰り返す意外は、絶対的な孤独に耐えうる力と距離を手にするほか無い。
個人が孤独を選択しないのであればやはり人種と人種、特性と特性の距離を離し、人恋しい思いを常時抱かなければ、人は人から与えられる安らぎを理解しないであろう。

彼はただ思想を確立しようとしているのでは無論なかった。
彼はもう既に十以上の移民できそうな新しい惑星を発見していた。
だが、すべての国の数だけ発見していなかったので、それはまだ発表されていないだけなのである。
彼がどのようにそれらを発見し得たのかと言うと、彼は影と音によりそれらを発見していた。
彼は惑星の影を幼い頃に既に発見していた。それは彼が8歳の頃、彼が彼の父から譲り受けた小さな天体望遠鏡により、自らが作ったプラスチックの黒いフィルターを使って彼の住む惑星の主である恒星を観察している時に、彼の住む惑星の主である恒星よりも遥かに燃える恒星に彼の住む惑星が遥か遠くてらされた瞬間、確かに、だがうっすらと彼の主である恒星に影ができたのを見たのだ。だがそれは一日にも満たない瞬間でありそれ以来彼は40年間もの間、彼の惑星におけるそれを見ていない。
だが彼はそうしたことが起こりうる計算式を編み出して既に10000もの名もなき惑星を見つけ出した。
そして次に彼は音によるその惑星の性質を探り当てる方法を見つけていた。それも彼が幼少のとき父から授かった天体望遠鏡によるもので、影の奇跡が起こると同時に発見していた。それは影を見ていた時に彼の惑星で起こった地震が教えてくれた。彼は敏感にかつ注意深く地震が起こった瞬間の恒星の炎を見ていた。彼の住む星の地震の特性である、個体である土が揺れた時の振動音と、その後に訪れる液体である海が揺れて起きる、土よりも遥かに滑らかで広がりのある振動音とが、恒星の炎が燃えた時に起きる轟音に共鳴して起きる音を、宇宙という真空の空間が、色として差異を顕現化させるのであった。それは波紋のようなものではなくむしろ万華鏡のようなもので音が映像に置き換えられた瞬間であった。
彼は土から水に変わる音の映像をはっきりと記憶したまま大人になった。
だがその映像を大人になってみたのは40年間のうちたった10回だった。

ある日不意に彼の国の王が倒れ、その跡を彼の息子が王に代わり、彼は以前から摩擦が起きていたいた隣国との戦争を始めた。彼曰く芸術を理解しない醜い国との美しい戦いであった。
水脈は開戦と同時に地に穴を掘りそこに一人閉じこもった。
彼は戦争が起きたら以前からそうするつもりでいた。
「もうこの世に未練はない。」この戦争を期に世界は星を捨て自国の芸術を守り始めるであろう。「次の世代へ託すのだ。」
そう考えて彼は妻と娘を地上に置いて、彼が作った惑星地図とこの惑星の世界地図を手に土へと潜っていった。

彼の妻と彼の娘は彼を容易く許した。
今までそうならなかったのが不思議にさえ思えた。
彼女らは彼が彼の世界にしか生きていない事をずいぶん前から理解していたし、彼だけが気付かずに彼女らを愛していたことをありがたいとさえ思っていた。
彼女らは彼が残したわずかな財産を売り払い小さなシェルターを彼が潜っていった穴の入り口に建てた。

彼はまず、ずいぶん長い時を眠りに対あてた。その間見た夢のほとんどは恒星の影と、その恒星の炎が放った万華鏡のような音の映像だった。また稀に今まで見た事もないような美しい映像さえも見た。彼はその惑星が持つ特性についての甘美な推測が終わるまでその夢を離さなかった。
そうしているうちに、とてつもなく大きな振動が彼の住む国とは逆の方向つまりは惑星の裏側から起こり、ついに目を覚ましてしまった。
彼は敏感に察した。とうとう世界中が星を捨てたのだと。そして彼は彼の惑星地図を破り、更に土の中へと埋めた。

彼が眠っている間、彼は土の上から染み落ちてくる養分の汁をすすって生き延びていた。
しかし彼は知っていた。それは彼の妻と娘がその養分の入った液体を土にしみ込ませてくれていた事を。しかしそれも途切れていた。それも彼が目覚めた原因の一つだった。
そして彼女らは連れ去られたのであろう。妻は殺されたかもしれない。娘は確実にどちらかの国の王のもとへ妾として捕らえられたであろう。なぜなら彼女は彼が知りうるどんな映像よりも美しかったから。
しかし彼はそれを深く納得していた。もしも彼が地上にいたとしても結果は同じだったから。それに娘には大きな役割があった。それは森が自ら山火事を受け入れ、それによって普段では割れない殻を火の力を借りて発芽させるような、大事な役割があったから。
彼は戦争という大火が納まるであろう時に、彼女が再び星を愛する王を生む事を確信していた。その王は既に娘に伝えた惑星の発見方法と10の移民可能である惑星を手に王となるのであった。彼はそれがこの国でなくてもよいと考えていた。

しかし、それだけ未来に種を蒔きながらも彼は未だ死ねない理由があった。
彼には彼にしかなし得ないもう一つの仕事が残っていた。
それは彼の妻が発見していたこの惑星に関する変革の鍵であった。
彼女は星よりも土を愛していた。
彼女はいくつもの木を彼女と彼が住む家の庭に植えていた。
彼女はその木々を見ていつも同じ空想を彼に話していた。
それは彼女がその木を根こそぎ抜いてしまうと、それが惑星の裏側にある木と繋がっていてその裏側の木がすっぽりと彼女が抜いた木と入れ替わってしまう。
もちろん彼女が木を根こそぎ抜ける筈もないのだが、彼女は木を愛しながらも根こそぎ抜く事を夢見ていたのだ。
彼はそれを深く理解した。愛するものが壊れてほしいと思う気持ちと、愛するものが生まれ変わるイメージは同時に起こりうる、まるで人類にとっての戦争のようなのもだと。
人類が起こした数々の戦争はそうして一度無くしたものを全く作り替えるために起こしているような気がする。もしそうでなければすべては抜かれたままの木でやがて腐って土に飲み込まれるだけのもの。そこまで人類の行いは惑星の生命全体における進化の過程から阻害されたものではない筈だ。
彼はそれを証明させねばならなかった。その仮定を立てた妻の意思を引き継ぎ木の根をたどってそれを引っこ抜いて惑星の裏側の木を釣り上げねばならなかった。
彼は潜った。土を食み石をかき分けてマントルの脇をすり抜ける木の根を捜し当てるために。

どれくらい時間がったったのであろう。
彼は既に視力を失いまるでモグラのような生物に変貌しながらも、なおも地中深く潜り続けていた。
その頃になると知覚の一部が異常に発達し、一種のテレパシーのようなもので物体と空間を認識していた。
だがもう彼は限界だった。もう10日以上も水分を摂っていなかった。
マントルに近づいたために地中の水分が枯れていたのだ。
そして、彼はとうとう力尽きて死んだ。

しかし、彼の遺志を継ぐように彼の身体を侵し始めていた病原菌が活動を始めた。
彼らは、彼の遅れを取り戻すように、土と土の間にある僅かな気体を頼りに地中を猛烈な勢いで下っていった。
マントルを通過後、病原菌は、今度は寒さによって死滅したが、その病原菌に取り付いていた寒さに耐えられる新たな病原菌がそれらに変わって遺志を継いだ。
そしてとうとうこの惑星のすべてのプレートの源である泉にたどり着いた。
彼らはそこで仲間同士で共食いを始めた。
それも無理は無かった。彼らにしてみればもう何日も食事をしていなかったのだから。
それはまさに戦争のような光景だった。
その戦争による激しい摩擦による運動によってプレートの泉が波打つ海のように振動し始めた。それは抵抗の無い整った美しい波だった。
その波を作り上げて彼らは滅んだ。

その波は20年間振動し続けた。
地上ではその20年間、かつてその惑星で何十億年かけてなし得た大陸の移動を繰り返した。
西の大陸は北の大陸と入れ替わり、東の大陸は南の大陸と入れ替わった。
そこに住む人々は、少しずつ歪む自分と大陸を修理する事で手一杯の日々だった。

大陸の移動が終了すると、彼らは戦争を始めた。
皆もといた気候へと帰りたかったのだ。
しかし、ある国の王だけは違う行動をとる事を宣言した。
彼は言った。
私の国は元いた位置に帰りたいなどとは思わない。
なぜなら私たちはこれから自分の惑星へと旅立つのだから。

世界はその言葉に戦慄と恐怖を覚え、再び星の時代へと突入した。